日本消化器外科学会雑誌
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膵癌拡大手術後の再発形式の検討
術中照射による影響も含めて
金子 哲也中尾 昭公原田 明生野浪 敏明高木 弘
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2423-2428

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抄録

1981年7月より1992年9月までに施行された膵癌拡大手術106例中, 剖検および画像診断にて再発形式を確認できた44例と術死にて剖検が施行された4例を対象とし再発形式につき検討し以下の結論を得た.(1) 局所再発: 17例 (38.6%) に認められた.術中照射 (IORT) 施行例26例で局所再発率31%, IORT非施行例18例の局所再発率は50%でIORTは局所再発を制御する傾向が認められた.さらに十分な局所再発制御のためには今後, 照射野の拡大や術後外照射を要すると考えられた.(2) 遠隔転移: 肝転移が38例 (79.5%) と極めて高率に認められた.門脈系静脈壁への浸潤, 静脈浸潤との相関はなく, 組織型は乳頭腺癌で低かった.(3) 腹膜播種: 腹膜播種は13例 (29.5%) に認められた.膵前方被膜への浸潤の進行とともに腹膜播種率は高くなるが膵前方被膜浸潤陰性例でIORTが腹膜播種を制御する傾向がみられた.

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