日本消化器外科学会雑誌
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腹腔鏡による鼠径ヘルニア修復術の経験
松本 純夫川辺 則彦森 健次鈴木 啓一郎宮田 誠一田坂 理大島 亮小林 健一松本 清吉田 善彦坂野 哲哉木村 忠広永井 研治印牧 武人船曵 孝彦
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2429-2432

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抄録

前壁, 後壁補強による従来の鼠径ヘルニア手術は筋膜緊張による疼痛と再発が問題であった.癖痛の軽減と再発の減少を目指して成人の鼠径ヘルニア25例に対して腹腔鏡下のヘルニア修復術を試み, 同期間に主としてMcVay法にて修復した17例と比較検討した.腹腔内より腹膜を開き, ポリプロピレンメッシュを内, 外鼠径および大腿ヘルニア発生部位を覆うように腹横筋膜上に展開し, ステイプラーにてメッシュをCooper靱帯, 鼠径靱帯および腹横筋膜に固定した.両群とも最長13か月の追跡で再発を認めなかった.腹腔鏡下修復術では術後疼痛は少なく全例手術翌日から歩行可能で, 再発鼠径ヘルニア3例の感想では前回手術より疼痛が少なかった.腹腔鏡下手術の25例中20例 (80%) は9日以内に退院した.従来方法では10日以内に退院した症例はなかった.以上の結果から腹腔鏡下ヘルニア修復術は安全で侵襲の少ない手術であると考える.

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