日本消化器外科学会雑誌
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Neuron-specific enolase陽性を呈した胃平滑筋肉腫の1例
福長 洋介東野 正幸大杉 治司前川 憲昭谷村 慎哉徳原 太豪紹野 進前田 史一徳山 彰俊木下 博明高田 信康
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2439-2443

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抄録

胃平滑筋肉腫は胃悪性腫瘍の1~2%とされる.そのうち壁外性に発育したものでは発見も遅れ巨大となるものが多い.また, 本症の良悪性の鑑別は病理診断においても非常に困難とされる.今回われわれは, 術後免疫組織検査でNSE陽性を呈し, 胃壁外性に発育した胃平滑筋肉腫を経験したので報告した.
患者は44歳の女性で, 心窩部痛・背部痛を主訴に来院した.上部消化管造影検査, 胃内視鏡検査, 腹部超音波検査, 腹部CT検査および腹部血管造影検査で胃から壁外性に発育した粘膜下腫瘍の診断で手術が施行された.腫瘍の大きさが9×7cmで胃より壁外性に発育していた.病理組織診断で, 平滑筋肉腫と診断され, 免疫組織染色でNSEが陽性に染色された.
一般に胃平滑筋腫の良悪性の鑑別は非常に困難とされているが, 今後このような間葉系組織抗原や中間系線維が胃平滑筋肉腫の悪性度の診断に有用となる可能性が示唆された.

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