症例は38歳の女性.8歳時に先天性胆道拡張症を指摘され手術を勧められていた.平成2年9月, 右季肋部痛, 食欲不振を主訴として来院.逆行性膵管胆管造影検査で左肝内胆管から総胆管, および膵内胆管の拡張を認め, 肝左葉内に直径2.5cmの腫瘤陰影を認めた.さらに術中, 膵内胆管にIIa+IIc様の癌 (3.8×2.2cm) を認め, 肝左葉切除兼膵頭十二指腸切除, 総胆管嚢胞切除術を施行した.術後, 切除標本の検索で肝内腫瘤はいわゆるcarcinosarcoma (Stage II) であり肝臓に微小の浸潤を認めた (hinf1, ly0, V0).膵内胆管病変は中分化型腺癌 (Stage II) で深達度はss (panc1), ly1, v0, pn1であった.その後胆嚢頸部の粘膜にも深達度ssの高分化型腺癌 (Stage I) を認めた (ly0, v0).先天性胆道拡張症に併存した肝内胆管癌と膵内胆管癌の重複癌の報告例, さらに胆嚢癌を合併した胆道系3重複癌報告例も自験例が第1例目である.