日本消化器外科学会雑誌
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m, sm早期胃癌に対する局所治療
外科手術と内視鏡治療の接点
梨本 篤佐々木 寿英
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2527-2531

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抄録

1,301例の単発性早期胃癌を対象に臨床病理学的諸項目を分析し, 外科手術と内視鏡治療との接点と思われる外科的局所切除の適応と実際について検討した.
外科的局所切除の適応は, 安全域も含め, 局在 (C) の長径3cm以下の隆起型早期胃癌および, 肉眼型を問わず長径1cm以下の早期胃癌と考えられた.
外科的局所切除を施行した24例のうち, 積極的に外科的局所切除を施行した12例では, 追跡期間が最長25か月と短いものの, 1例の再発もなく全例健在である.したがって, 適応を厳密にするならば, QOL項目を十分に満たしうる安全な手術手技と思われた.
早期胃癌に対する外科治療の遠隔成績は良好であるが, 今後は高齢者社会の到来とともに高齢者早期胃癌症例の増加が予想される.早期胃癌に対する治療は根治性の追求のみならず, 患者の社会的環境, 家族構成をも考慮し, 縮小手術, 内視鏡治療も積極的に取り入れていく治療体系が望まれる.

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