日本消化器外科学会雑誌
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早期大腸癌における外科的療法の変遷とlaparoscopic assisted colon resectionの適応について
山根 哲郎稲掛 雅男大矢 和彦奥山 晃下間 正隆北村 和也谷口 弘毅萩原 明郎山口 俊晴沢井 清司小島 治高橋 俊雄
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2537-2541

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抄録

早期大腸癌の治療としては内視鏡的ポリペクトミーの普及と進歩により外科手術の適応となるものは比較的少ない.しかし患者のquality of lifeや機能温存を考えて縮小手術の適応が問題となっている.1980年より1992年7月までの13年間の大腸癌手術症例は622例であった.そのうち早期大腸癌の手術症例は62例 (10%) で, m癌26例, sm癌36例であった.リンパ節転移はsm癌においてはn1 (+) を2例 (5.6%) に認めた.これらの早期大腸癌に対する外科的治療は以前は進行癌と同様に取り扱われ, わずかにリンパ節郭清や切除範囲を縮小するものであった.最近, 早期直腸癌に対しては経肛門的・経仙骨的切除を8例に行い, また早期結腸癌に対しては腹腔鏡下結腸切除を3例に行い良好な結果を得ている.本法は手術侵襲が少なく, リンパ節郭清もR1以上の根治手術が可能であり, 多くの利点を持った手術法であり, 今後広く普及する術式と考えられた.

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