日本消化器外科学会雑誌
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肝内胆管癌との鑑別が困難であった良性肝内胆管狭窄の3例
三輪 史郎橋倉 泰彦北村 宏池上 俊彦嘉数 徹松波 英寿野口 徹川崎 誠治幕内 雅敏太田 浩良
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1994 年 27 巻 9 号 p. 2146-2150

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抄録

良性肝内胆管狭窄はまれな疾患とされている.我々は肝内胆管癌による悪性肝内胆管狭窄を疑って手術を施行し, 術後に良性肝内胆管狭窄と診断された3例を経験したので報告した.症例1;61歳の男性, 右前上亜区域胆管の狭窄を認め同区域の動脈にencasementを認めたため, 悪性病変を疑い肝右葉切除を施行した.症例2;58歳の男性, 左外側区域胆管の不整な狭窄像を認め, 悪性を否定できず肝左葉切除を施行した.症例3;45歳の女性, 肝左葉外側区域胆管に完全閉塞を認め, 胆管癌を疑い左葉切除を施行した.術後経過はいずれも良好であり, 症例1, 2では腫瘍マーカーの正常化, 症例3では症状の改善が得られた.肝内胆管狭窄の治療方針の選択においては, 悪性を否定しえない症例や胆管炎を繰り返す症例に対しては肝切除も考慮すべきと考えられる.

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