日本消化器外科学会雑誌
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術後急速に腹壁再発をきたした肉腫様変化を示す肝細胞癌の1例
虫明 寛行小橋 雄一野村 修一藤岡 正浩臼井 由行佐々木 澄治
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1998 年 31 巻 11 号 p. 2240-2244

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抄録

症例は64歳の男性, 主訴は心窩部痛.肝前外側区域に径約5cmの腫瘤と膵体部に径約2cmの腫瘤を認めた.画像上は胆管細胞癌, 転移性肝癌, 肝膿瘍, 肝嚢胞腺腫 (癌) 様を呈した.術中迅速病理検査で肝癌と診断し, 肝外側区域切除および2群+αリンパ節郭清を施行した.総肝動脈幹前上部リンパ節に孤立性転移を伴う肉腫様肝癌 (相対的非治癒切除) であった.
術後2週目頃から術創部の痛みを訴え始め, 術後41日目に腹壁再発が明らかとなった.切除目的で再開腹したところ, 広範な腹膜播種を認め, 術後87日目に癌性腹膜炎のため死亡した.
肉腫様肝癌は, 浸潤型の増殖を示し, リンパ節などへの肝外転移が高率であり, また急速な経過を示すなどの性格から, これを疑った場合は早期に十分な肝切除とリンパ節郭清が必要である.

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