日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
ストレプトゾトシンが有効であった膵内分泌腫瘍の1例
長山 聡松城 尚憲堀 泰祐永井 利博山辺 博彦大垣 和久
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 7 号 p. 2010-2014

詳細
抄録
症例は49歳の女性. 主訴は嘔気, 心窩部痛. 入院翌日, 胃静脈瘤の破裂を来した. CTにて膵体尾部腫瘍による脾静脈閉塞が原因と判断し(多発肝転移有り), 緊急で噴門側胃切除術を施行. 膵腫瘍の生検でsolid and papillary epithelial neoplasmが強く疑われた. 後に膵体尾部切除, 脾摘による腫瘍縮小術を施行, 肝転移に対しては抗癌剤の動注療法で対処したが, 治療抵抗性であった. 術前より血中ガストリン値が高く, 肝転移巣の増大とともに血中濃度は上昇し, さらに高インスリン血症による低血糖発作が頻発した. 病理所見を再検討した結果, islet cell tumorと確定された. Ca blocker, Somatostatinanalogでは効果なくStreptozotocinの動注療法を開始したところホルモンデータは劇的に改善した. 重篤な副作用もなく, 臨床経過は良好である.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top