日本消化器外科学会雑誌
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家族性大腸腺腫症の術後回腸瘻閉鎖部に発生した小腸癌の1例
吉田 信河島 秀昭原 隆志石後岡 正弘樫山 基矢高梨 節二後藤 剛菅 敏郎畠山 広巳山崎 左雪
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2002 年 35 巻 8 号 p. 1438-1442

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抄録
症例は34歳の女性. 家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis; 以下, FAPと略記)にて1991年11月, 大腸全摘, 回腸J-pouch肛門吻合, 回腸瘻造設術を受け, 術後病理所見でm癌を認めた. 5年後に回腸瘻を閉鎖し, その後の経過は順調であったが2000年3月頃より単純性イレウスを繰り返し徐々に症状が悪化した. 同年4月イレウス管造影にて回腸に高度な狭窄を認めたため4月28日開腹手術を施行した. 閉塞部位は回腸瘻閉鎖時の吻合部であり, 同部位に硬い腫瘤を触れたためデスモイド腫瘍や吻合部狭窄を考え小腸部分切除を施行した. 術後病理所見で高分化型腺癌, ss, ly1, v2と診断した. 術後は本人の同意が得られず追加切除や化学療法は行っていないが現在無再発生存中である. FAPの小腸癌合併頻度は少なく, 自験例は術後吻合部に発生した極めてまれな症例と考えられた.
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