日本消化器外科学会雑誌
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術後化学療法が奏効し長期生存中の直腸原発小細胞癌の1例
湯川 寛夫赤池 信杉政 征夫武宮 省治亀田 陽一今田 敏夫
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2002 年 35 巻 8 号 p. 1443-1447

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抄録
症例は50歳の女性. 1996年6月注腸検査, 大腸内視鏡検査で肛門縁から10cmの直腸に2型病変をみとめ生検でanaplastic squamous cell carcinomaであった. 術前CTにて傍直腸, 大動脈周囲, 左腸骨動脈周囲にリンパ節腫大を認めた. 8月12日低位前方切除術施行, 術中迅速診にて大動脈周囲リンパ節に転移陽性であり, 根治度Cであった. 病理組織診では直腸原発の小細胞癌と診断した. 肺小細胞癌に準じ術後CDDP40mg×2日, VP-16 100mg×3日(1クール)の化学療法を施行した. 化学療法が奏効し術後9MのCTにて傍大動脈リンパ節腫大消失CRを得て以後2001年2月まで42か月, 再発なく経過中である. 小細胞癌の直腸原発例はまれであり, 1クールにもかかわらず化学療法が奏効した1例を経験したので報告する.
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