日本消化器外科学会雑誌
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鈍的外傷後に診断された胸部下部食道破裂の1例
境 雄大佐藤 浩一今 昭人須藤 泰裕
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2008 年 41 巻 5 号 p. 481-486

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抄録

慢性関節リウマチでメトトレキセートを内服中の71歳の女性が, 昼食後に入浴し, 立ち上がった際に意識を消失して転倒した. 意識は回復したが, 強い胸痛と呼吸苦が出現したため, 当院へ搬入された. 胸部CTで左気胸, 左胸腔内の食物残渣状の胸水貯留, 胸部下部食道壁の肥厚を認めたが, 外傷性変化は見られなかった. 胸腔ドレナージ後に内視鏡検査で胸部下部食道に穿孔を確認し, 緊急手術を行った. 開胸すると食物残渣を混じた胸水が貯留しており, 胸部下部食道左側壁に3.5cmの穿孔を認めた. 1期的縫合閉鎖, 洗浄, ドレナージを行った. 術後食道造影X線検査では縫合不全や狭窄はなく, 食事摂取も良好であった. 創感染と日常生活動作の低下により入院が長期化したが, 術後58日目に退院した. 自験例では意識消失・転倒に先行した腹腔内圧上昇につながる症状はなく, 食道破裂の成因は転倒による圧上昇と推測された.鈍的外傷では食道破裂も念頭におく必要がある.

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