日本消化器外科学会雑誌
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著明なリンパ球浸潤を伴いHLA-DR抗原の発現がみられた食道低分化型腺癌の1例
御供 真吾岩谷 岳池田 健一郎木村 祐輔肥田 圭介藤原 久貴木村 聡元上杉 憲幸前沢 千早若林 剛
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2008 年 41 巻 5 号 p. 499-504

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抄録

症例は56歳の男性で, 嚥下障害を主訴に近医を受診した. 胸部下部食道に潰瘍性病変を認め, 生検にて腺癌の診断で胸部食道切除, 3領域リンパ節郭清, 後縦隔経路大彎側胃管再建を施行した. 病理組織学的診断は低分化型腺癌で, いわゆるmedullary carcinoma with lymphoid stromaの像を呈していた. 乳癌や胃癌におけるリンパ球浸潤を伴った癌は一般に予後良好とされており, 胃癌ではEB virusの発癌への関与も指摘されている. しかし, 同型の食道癌は報告例が少なく不明な点が多い. In situ hybridizationではEpstein-Barr virus (EBV) 感染を示すEBERは陰性であった. また, 免疫染色ではHLA-DR抗原が癌細胞に陽性に染色された. リンパ球浸潤を伴う食道癌におけるHLA-DR抗原の発現が, 長期生存と関係している可能性が示唆され, 文献的考察を加え報告する.

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