拡張型心筋症により駆出率が15%と低心機能状態で全身麻酔下による直腸癌手術を行った症例を経験したので周術期管理などを中心に考察を加えて報告する. 症例は59歳の男性で. 拡張型心筋症にて当院循環器科通院中に高度の貧血と便潜血陽性より下部消化管内視鏡検査を施行したところ. 直腸Raに2型直腸癌を認めた. 循環器科. 麻酔科と相談のうえ. 手術適応ありと判断し平成18年10月低位前方切除術. リンパ節郭清D2を施行した. 術中は循環動態把握のためSwan-Ganzカテーテルを留置し厳重にモニタリングしながら循環動態の管理を行った. その結果. 心不全の増悪や合併症なく. 比較的安定した周術期を経過した. 心不全をある程度コントロールし. 術前評価を入念に行い. モニター. 薬物などの準備を十分行えば. 全身麻酔下での高侵襲手術は可能であると考えた.