1995 年 2 巻 p. 83-92
日本における医薬品の経済的評価の進展状況を把握するため、①日本製薬工業協会の会員会社、②医療経済研究機構で登録された医療経済研究者、③日本の全薬学部、④全大学病院および⑤任意抽出の厚生省関係者にアンケー卜を実施した。
268通の送付に対し、114通の有効回答があり、以下の項目に着目して結果を分析した。
1) 医薬品の経済的評価の実施状況、活用状況
2) 医薬品の経済的評価の、各種意思決定および研究開発における活用可能性
3) 方法論としての手法の評価
4) 医薬品の経済的評価の進展に対する障害
定性的に言えば、日本における医薬品の経済的評価は発展の初期段階にあり、実施・活用状況については回収分の60~65%が活発ではないことを示している。全ての回答者が医薬品の経済的評価の有用性自体は認めており、その活用については「産業分野」、「研究開発のフェーズIV」において最も活用可能性が高いと考えている。現時点では、方法論や実施の目的に関する社会的な共通認識も形成されていない。また、発展のための最大の障害は、専門家と良質なデータの不足と考えられている。