医療経済研究
Online ISSN : 2759-4017
Print ISSN : 1340-895X
研究ノート
医療市場における消費者の外部情報探索
―事前知識が情報取得行動に与える影響についての実証的研究―
伊藤 朱子長瀬 啓介
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 21 巻 2 号 p. 137-153

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抄録

医療市場における消費者の事前知識が情報取得行動に与える影響について調査した。調査にあたり、医療市場で医療機関を選択するという意思決定を行う消費者の行動を、消費者の問題に対する知識とプロダクトライフサイクルに合わせた3段階、広範問題解決行動、限定問題解決行動、反復問題解決行動に分類した。
質問用紙法を用いた調査を行い、まず、3段階について検証した。事前知識量は問題解決行動段階が進むにつれ多くなり、この分類をもとに情報取得行動との関係を検証することが出来ると考えられた。次に、3つの問題解決行動と情報取得行動の関係を検定したところ、情報探索量、参照する情報源の数は、問題解決行動の間に有意な差があり(有意水準1%)、その関係は、逆U字型であることが分かった。
本調査の結果により、医療市場においても消費者の事前知識は情報取得行動に影響を与えるということが分かり、また消費者に情報を提供する際、3つの問題解決行動ごとに戦略を検討することが有効であると考えられた。

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© 2009 本論文著者

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