2010 年 21 巻 3 号 p. 327-339
本論文の目的は、医療サービス供給からの社会的余剰を比較することにより、自治体合併後に自治体病院をどのように運営することが社会的に望ましいかを分析することである。本論文は、医療サービスを考慮したホテリングモデルを拡張し、自治体病院をどのように運営することが社会的に望ましいかを3つのケースに分け比較、検討をする。
この分析により、以下の結果を得ることができる。第1に、社会的余剰の観点から見た場合、自治体合併後の社会的に望ましい自治体病院の運営は、住民の病気が治ることによる効用の大きさに依存して決まる。第2に、医療サービス供給の公的負担の観点から考えた場合、自治体合併後、2つの自治体病院を運営するときに、医療サービス供給の公的負担は最も少なくなる。