人文地理
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研究ノート
人口減少時代における市町村の活力
森川 洋
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2018 年 70 巻 2 号 p. 215-232

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抄録

7指標を用いて活動的都市と衰退市町村を分類し,人口規模との関係や地理的分布について考察した。4指標以上において下位1/5(20%)に含まれる衰退市町村はすべて人口3万人未満の市町村であり,消滅可能性都市や過疎関係市町村に指定された都市はあるが,縮小都市(人口激減都市)は存在しない。4指標以上において上位20%に含まれる活動的都市は,大都市とその周辺や地方の中心都市に多く,地方の中小都市には少ない。活動的都市は沖縄本島を除くと三大都市圏に集積するが,活力の乏しい大阪市周辺では集積が比較的少ない。福岡市や仙台市の周辺でも活動的都市が多いが,札幌市の周辺には少ない。秋田県,和歌山県,高知県などでは県内に活動的都市が皆無で,地域的都市システムが全体的に活力を失いつつあるようにみえる。

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© 2018 一般社団法人 人文地理学会
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