頭頸部腫瘍
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厚生省研究班における頭蓋底手術症例の統計的観察
犬山 征夫酒井 昇福田 諭行木 英生鎌田 信悦岸本 誠司西川 邦男金子 省三宮田 守藤井 正人
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1994 年 20 巻 3 号 p. 511-515

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抄録

厚生省がん研究助成金による研究班の8施設から集積された93例の頭蓋底手術症例について統計的観察を行った。組織型は扁平上皮癌が49例で最も多く, 次いで嗅神経芽細胞腫11例, 腺様嚢胞癌10例の順である。原発部位では鼻副鼻腔が全体の89%を占めているのでこれを中心に述べた。手術の概要は開頭術では前頭開頭が49例で最も多く, 次いで前頭側頭開頭30例, 側頭下窩法7例の順である。再建材料については硬膜欠損の再建は大腿筋膜が24例で最も多く, 次いで pericranial flap 13例, galeopericranial flap 11例の順である。頭蓋底および顔面欠損に対する再建材料は遊離腹直筋皮弁が59例で圧倒的に多かった。治療成績では全症例の5年生存率は40%であり, 鼻副鼻腔扁平皮癌では45.4%, 同じく腺様嚢胞癌は59.3%であった。一方, 嗅神経芽細胞腫は4年生存率までであるが54.5%であり, 期待していた以上に良好な成績が得られた。合併症は36%に認められた。その内訳は局所感染が17例で最も多く, 次いで膿瘍形成12例, 髄液漏9例, 髄膜炎8例の順であった。手術死亡は7.5%に認められた。

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© 日本頭頸部癌学会
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