頭頸部腫瘍
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声門癌放射線非制御例に対する喉頭部分切除術について
藤井 隆佐藤 武男吉野 邦俊稲上 憲一長原 昌萬沖田 純桃原 実大西本 聡
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1998 年 24 巻 1 号 p. 97-103

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抄録
1979~94年に根治照射を施行した声門扁平上皮癌 stage I・II 536例のうち salvage 手術として部分切除術を行った症例 (A群) 35例について, 同時期に初回治療として部分切除術のみが行われた症例 (B群) 28例および他院で根治照射後再発の二次例に対して部分切除術が行われた症例 (C群) 10例と比較した。局所制御率はA群86%, B群86%, C群80%であり, 喉頭温存率は各々80%, 86%, 80%であった。5年累積粗生存率はA群84%, B群96%, C群90%であり, 死因特異的生存率は各々93%, 100%, 90%であった。カニューレ抜去までおよび経口摂取までの期間の中央値は各々A群9日・12日, B群8日・11日, C群13日・14日であった。A群・C群に1例ずつ甲状軟骨炎が生じたが, その他の術後合併症の頻度は各群同等であった。これらの結果より, 喉頭部分切除術が根治照射非制御例に対する salvage 手術としても, 有用で確実性の高い方法であることが示唆された。
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© 日本頭頸部癌学会
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