薬史学雑誌
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鑑真和上の功績を広めるために造園された唐招提寺薬園の歴史とその再興
西原 正和
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2022 年 57 巻 2 号 p. 122-127

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抄録
目的:唐招提寺は,鑑真和上により創建された寺である.鑑真和上は,医学・薬学にも長けており,失明しているにもかかわらず,その嗅覚,味覚,触覚などで薬物を鑑別したとされている.今日,唐招提寺境内に薬園が再興され,その一部が公開されることとなったが,薬園を設置するに至った背景を調査することを目的とした. 方法:過去の書物,文献,報告に加えて,唐招提寺に残る書物や関係者への聞き取り調査を行った. 結果:唐招提寺の薬園は,第81代長老の森本孝順の熱い思いにより1988年に設置されたものの,金堂における平成の大修理に伴い,金堂に安置する三仏の避難場所として使用するために,1999 年に廃園となった.しかし,廃園の際に一部を岐阜県に移植し保管し,長年管理されてきた.その後,2018年に第88代長老の西山明彦の発願により薬園を復興する計画が持ち上がり,2022年3月に岐阜県に移植していた薬草を唐招提寺薬園内に再移植し,4月から薬園が一部再興することとなった.なお,薬園は2024年に完成予定とされている. 結論:唐招提寺の薬園は,寺院の維持管理のためにやむを得ず一度廃園したものの,2022年より一部再興するに至った.
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© 2022 日本薬史学会
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