抄録
目的:バイオ後続品と先行バイオ医薬品の同等性/同質性評価技術の進歩,国内外における規制と承認の動向を調べた.
方法:国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)年報の業務報告,医薬品医療機器総合機構(PMDA),NIHS 生物薬品部のウェブサイトおよび関連文献情報より収集した.
結果と考察:欧州EMAは,2005年以降,総論的ガイドライン(GL)に加えて,品質GL,非臨床・臨床試験GL,および製品群別の非臨床・臨床GLを継続的に公表し,その起点になった.2009年には,我が国でも,バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針(薬食審査発第 0304007 号)の通知が厚生労働省より発出された.米国では,2010年バイオ後続品の規制要件を定めた法律が成立し,2012年 FDA からガイダンス案が公開された.先行品との同等性/同質性が承認のキーポイントとなっている.同等性/同質性評価においては,製法の影響で差異が生じやすい N-結合型糖鎖プロファイルや,抗体医薬品の ADCC 活性,FcγRⅢa 結合活性などが重要となる場合が多く,NIHS でも関連する評価法の研究が行われている.抗体医薬品の重要な生物学的特性である免疫細胞活性の Fc-介在機能の比較は重要である.この評価法は,2013年から現在まで続けられ進展して来ている.一般的な生物学的分析法は,マウス IgG1 モノクローナル抗体での簡易サンプル調整法と LC/MS を用いたモニタリング法が開発された.我が国では,現在まで,サイトカイン,エリスロポエチン類,抗体等を含む32品目が承認された.