薬史学雑誌
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日本初の無鉛白粉作製の背景とその無害証明に関わった薬学者たち
髙際 麻奈未
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2022 年 57 巻 2 号 p. 93-100

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抄録
日本初の無鉛白粉「御園白粉」の現存する販売宣伝用小冊子には,商品が無害であることを学理上から保証する薬学博士として下山順一郎,田原良純の名前が挙げられている.本稿では日本における白粉の歴史および無鉛白粉が作られた背景について調査した.かつての白粉は鉛白や軽粉からなるものであった.鉛白は 5 世紀中頃に中国より日本へ伝えられ,以後白粉の原料としても使用され続けた.含鉛白粉による鉛中毒が問題となり,明治 33 年に内務省より有害性著色料取締規則が出されるまでに至った.「御園白粉」は白粉の安全性が求められる中で作製された,日本で初めての鉛白を使用しない白粉であった.日本初の無鉛白粉の無害証明には3 名の薬学者が関わっていた.これは旧薬事法が制定される以前に薬学出身者が化粧品の品質証明に関わった初めての事例である.
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© 2022 日本薬史学会
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