音声言語医学
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原著
聴覚障害児の作文における言語的特徴と教員による分析的評価との関連
新海 晃澤 隆史
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2019 年 60 巻 2 号 p. 121-129

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抄録

研究1では,聴覚障害児の作文評価における7つの分析的な評価観点の有効性について検証すること,研究2では,作文中における多数の言語要素の使用と印象評定による評価との関連について検討することを目的とした.対象作文は,聾学校の小学部高学年と中学部に在籍する聴覚障害児の書いた作文各24編,計48編であった.それぞれの学部を担当する聾学校教員各10名に,7つの観点からなる分析的評価と総合評価の計8つの評価観点について評定させた.分析的評価は7件法,総合評価は10件法で実施した.また,言語要素の分析に際しては,48の要素を用いてその頻度や割合を求めた.研究1の結果,分析的評価によって総合評価の結果をほとんど説明できること,7つの評価観点はさらに大きなカテゴリに集約されることが示された.また研究2の結果,特定の言語要素の使用と評価観点との間に対応関係のあること,評価結果には複数の言語要素を組み合わせた文体の影響があることが示された.

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© 2019 日本音声言語医学会
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