抄録
本研究では,運動パフォーマンスとマインドフルネス特性の関係性について,試験的な検討を行った。対象者は大学生8名であった。対象者は3群に分かれ,群間対抗のボールころがし課題を各自4回行った。対象者は課題実施前に,個人のマインドフルネス特性を評価するために日本語版Five Facet Mindfulness Questionnaireを測定し,4回目のボールころがし課題における的からボールまでの距離を測定した。本研究の結果,FFMQの下位尺度である「判断しないこと」と運動パフォーマンスの指標であるボールと的の距離の間に有意な負の相関関係が認められ,ボールころがし課題の成績が優れているほど,「判断しないこと」の得点も高いことが確認された(r (6) = -.823, p < .05)。本研究の結果から,マインドフルネスの「判断しないこと」という姿勢が,プレッシャー状況下における優れた運動パフォーマンスを予測する要因である可能性が示唆された。