抄録
瞑想の実践は,教育場面において学生の学習意欲や学業成績を向上させる効果があることが示されてきた。しかしながら,これらの効果は,学生が瞑想を積極的に受け入れた場合にのみ得られることが指摘されている。瞑想の高等教育への導入のより効果の高いあり方を検討するうえでは,瞑想に対する学生の能動的受容について詳細に検討する必要があると考えられる。本研究では,日本の大学で第二外国語科目としてドイツ語を受講している学生110名を対象に,4回の授業のはじめに2種類の瞑想のいずれかを3分間実施し,4回目の授業終了時に瞑想実践に関する質問調査を行った。その結果,量的および質的指標の両方から,参加者の多くが瞑想をポジティブに評価し,瞑想に対して前向きであることが示唆された。瞑想の種類による差はみられなかった。さらに多くの学生は,「集中力があがった」または「リラックスを感じた」時に瞑想を高く評価し,これらが瞑想を能動的受容する要因であることが示唆された。この結果は,外国語教育での瞑想の能動的受容に対する理解を深めることに貢献することが考えられる。