有病者歯科医療
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末期口腔癌患者における気管切開術の臨床的検討
和田 重人古田 勲高桜 武史高橋 勝雄井上 さやか津野 宏彰
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キーワード: 末期癌, 口腔癌, 気管切開術
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2004 年 13 巻 1 号 p. 21-27

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抄録
今回われわれは, 1996年4月から2002年3月までの6年間に当科における末期口腔癌症例の気管切開について, 臨床的に検討を行い以下の結果を得た.
1. 気管切開は男性14例 (73.7%), 女性5例 (26.3%) に施行されていた. 患者の年齢は19歳から90歳までで, 平均年齢は67.1歳であった. 腫瘍の制御が不可能となった部位は頸部12例, 原発部7例であった.
2. 気切を行った場所は, 病室あるいは処置室が12例 (局所麻酔11例, 局麻+マイナー・トランキライザーによる静脈内鎮静1例), 中央手術室が7例 (局麻3例, 全麻4例) であった.
3. 気切の適応と判断した理由は, 喀痰の排出困難が9例, 上気道閉塞が9例, 止血管理が1例であった.
4. 19例全例の術前の患者の局所所見に関して, 気管触知は18例 (94.7%) で可能, 頸部伸展は14例 (73.7%) で可能であった. 術中のインシデントとして呼吸停止と急性の上気道閉塞が各1例認められた. これらの術前の頸部所見は, 施術の時期を決定し安全に気管切開を施行する上で重要な要因と考えられた.
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© 日本有病者歯科医療学会
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