2014 年 17 巻 1 号 p. 43-48
目的:横浜労災病院ER では患者の来院方法や重症度に関わらず全ての救急患者に対して救急専従医が対応する北米型ER 方式を行っている。そのため,救急専従医がNPPV を導入する機会が多い。そこで,当院ER におけるNPPV の実施状況について検討した。方法:2010 年4 月から2012 年3 月にNPPV を導入した61 例について後方視的に調査した。結果:疾患としては,急性心原性肺水腫が最も多かった。NPPV 導入の適応は守られていたが,禁忌項目に該当するものとして,重度の意識障害,血行動態不安定の症例が1 例ずつ含まれていた。NPPV 離脱成功率は83.0% であった。急性心原性肺水腫の成功率は88.2% であり,28 日後死亡率は2.94% であった。NPPV 導入後そのまま死亡した症例は5 例あり,その全てが侵襲的な加療を希望されていない症例への導入であった。結論:急性呼吸不全にNPPV は有効とされているが,特に急性心原性肺水腫では有用性が高い。NPPV は侵襲的な加療を希望されない症例に対して有効な場合がある。