抄録
症例1〕1才女児, 生直後より全身に角化傾向があり, 1才頃より胸, 背, 陰股部に半米粒大までの紅色丘疹を散生する様になつた. 血液検査, 骨レ線検査, 小児科的には特記すべき所見はなく, 躯幹の円形紅斑落屑面からのKOH検鏡で多数の真性菌糸, 分節胞子を認め, Epidermophyton floccosum を分離. 診断確定後約2ヵ月にて, 抗白癬剤, VA酸等の外用で軽快の傾向にある. 症例2〕28才女性;生下時来身体の略右側のみに限局した紅斑角化局面を有していた. VA酸等の加療中角化局面に突然丘疹, 膿疱を生じ KOH 検鏡で多数の分節胞子を主とする菌要素を認め T. rubrum を分離. 診断決定後 GF 内服, 抗白癬剤の外用にて軽快した. これら2例の角化症と白癬菌感染との関係について, 若干の検索と考察を行なつた.