真菌と真菌症
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一般食品の汚染かび
宇田川 俊一
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1979 年 20 巻 3 号 p. 171-176

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抄録

1960年にアフラトキシンが発見されて以来, 食品のかび汚染は世界的に食品微生物領域の注目をうけるところとなつた. 食品変敗の元凶の1つとして, 食品上におけるかびの発育は以下のような生理的諸性質において細菌とはやや趣きを異にする. 1) 好気性, 2) 生育速度, 3) 温度, 4) 湿度, 5) 酸度 (pH). 多くの食品原料は自然のフィールドでかびの侵入にまず暴露される. 農作物の場合,
かびの一次汚染源は作物である植物およびその環境, たとえば土壌とに分けることができよう. 重要なものとして Aspergillus, Penicillium のある種と同様に, Alternaria, Chaetomium, Cladosporium, Curvularia, Drechslera, Epicoccum, Fusarium, Nigrospora, Pithomyces, Trichoderma, Ulocladium などの属種がある. 二次汚染として食品製造の機械, 包装材料, 作業従事者から持ち込まれることがあつても, 一次汚染菌はしばしばそのまま食品の流通加工段階を通じて生存する. 環境汚染源から由来したかびの残存からみて, 食品の一次汚染に対する正しい評価が更に必要であると思われる.

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