1990年に始まった生体肝移植は年々症例が増加傾向にあり, 日常医療として定着した感がある. 肝移植医療において, 超音波は第一選択として使用すべき診断・治療ツールである. ドナー肝切除では術中に肝静脈の走行を確認する必要がある. 移植後の肝動脈, 門脈血栓症, 胆管合併症は肝壊死, 肝膿瘍, 移植肝不全につながる重篤な合併症である. グラフト周囲の腹水がドレナージされず, 貯留していることもある. このような合併症を早期に診断するには, 超音波検査が有効で, 早期の治療・グラフト生着率の上昇につながる. 本稿で生体肝移植ドナー・レシピエントに行っている超音波検査を紹介する.