超音波医学
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特集「び慢性肝疾患の超音波診断」
門脈の超音波像 ‐正常像と異常像‐
加藤 隆佑石田 秀明
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2009 年 36 巻 3 号 p. 329-340

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抄録

本稿ではまず門脈の解剖とその超音波像について述べ,それを基盤に門脈圧亢進症における変化について解説する.門脈と肝動脈は肝臓に血液を送り,末梢類洞にて動脈血と門脈血は交わる.脾静脈と上腸間膜静脈は合流して門脈本幹を形成し,そこから右と左の門脈枝を出す.肝硬変などにより門脈圧亢進症が亢進すると門脈の血行動態は変化する.まず,血管抵抗が増加する.それを代償しようとして側副血行路が出来る.しかし,門脈圧を正常化させることは出来ず,血管抵抗は増加し続ける.門脈圧が増加するにしたがい,血行動態は求肝性からto-and-froを経て遠肝性になる.肝内もしくは肝外の短絡路を通して門脈から下大静脈や上大静脈といった大循環系の静脈に浄化されない門脈血は流れ込む.上大静脈に繋がる短絡は胃や食道の静脈瘤の形成に寄与する.下大静脈に繋がる短絡は傍臍静脈や脾腎短絡などが挙げられる.本稿ではさらに門脈血栓・門脈ガス・門脈肝内静脈短絡といった門脈系異常が腹部エコーにおいてどのように描出され,どのようにそれを解釈するかに重点をおいて補足的に解説する.

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© 2009 一般社団法人 日本超音波医学会
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