超音波医学
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特集「び慢性肝疾患の超音波診断」
門脈圧亢進症と側副血行路
松谷 正一
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2009 年 36 巻 3 号 p. 319-327

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抄録

び漫性肝疾患では進行に伴って門脈圧亢進症(食道胃静脈瘤出血,肝性脳症,腹水,脾機能亢進症)を来たすようになる.本論文では腹部エコーによる門脈圧亢進症の診断について概説する.門脈圧の上昇に伴って超音波により門脈の拡張や呼吸性変動の低下,脾腫が捉えられるようになる.さらに,門脈側副血行路が検出されるようになると,腹部エコーにより進行した門脈圧亢進症の診断が可能となる.門脈側副血行路は,その発達様式により臨床病態が異なり,最も形成頻度が高い左胃静脈や短胃静脈の発達は食道胃静脈瘤の形成に関与する.また,門脈大循環短絡路径が10mmを越えるようになると,高アンモニア血症を来たして意識障害を起こし易くなる.このような門脈側副血行路の発達は,門脈圧亢進症の諸症状に直結することからも,腹部エコーによる診断はび漫性肝疾患の診療を的確に行う上できわめて重要と言える.また,腹部エコーによる診断の際には,Bモードに加えて超音波ドプラ(FFT,カラードプラ)法を活用して,血行動態の把握に努めることが大切である.

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© 2009 一般社団法人 日本超音波医学会
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