超音波医学
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原著
多重ロジスティック回帰分析による非ホジキンリンパ腫の表在リンパ節再発超音波所見の検討
吉岡 二三田中 幸子北村 次男浜田 好弘平岡 締橋本 正史
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2011 年 38 巻 2 号 p. 119-127

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抄録
目的:非ホジキンリンパ腫の再発を早期診断出来る超音波所見を検討する.対象:発症時から経過観察した完全寛解中の18例125リンパ節(寛解リンパ節)及び寛解から再発または寛解せず増悪した計5例57リンパ節(再発リンパ節)である.方法:1.寛解リンパ節の大きさを測定した.2.寛解リンパ節の領域による大きさの相違をunpaired student T-testで検討した.3.ロジスティック回帰分析を用いた症例対照研究を施行した.超音波所見の(1)から(3)には,寛解リンパ節を用い,説明変数は(1)から(8)の場合を1,その他を0とした.(1)長径,(2)横径,(3)厚み径は,平均(M)+1標準偏差値(SD)以上,(4)厚み径/長径比は0.5以上,(5)境界は全周性に明瞭,(6)周囲の筋肉と比較したエコーレベルは同等かそれ以上に低い,(7)リンパ門域は広い,(8)血流は描出あり.結果:寛解リンパ節の大きさは,上頸部群の横径及び厚み径が中頸部以下尾側の領域より有意(P<0.01)に大きかった.M+1SDの概数は横径,厚み径についてはそれぞれ上頸部では11 mm,6 mm,中頸部以下では9 mm,4 mmであった.単ロジスティック回帰分析での有意な項目のオッズ比は厚み径11.9,横径11.0,血流4.1,厚み径/長径比3.7,長径3.1,エコーレベル3.0,境界2.8であった.多重ロジスティック回帰分析による有意な項目のオッズ比は,横径6.2(P<0.001)及び厚み径4.1(P<0.01)であった.結論:再発所見として最も有用な項目は横径であり,有用な項目の組み合わせは横径と厚み径であった.
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© 2011 一般社団法人 日本超音波医学会
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