超音波医学
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症例報告
限局性大動脈解離により発症した急性重症大動脈弁閉鎖不全症の1例
渡邉 幸太郎三宅 仁松田 真太郎前西 文秋登尾 里紀榊原 由希登尾 薫佐藤 信浩山野 愛美大北 裕
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2012 年 39 巻 2 号 p. 121-130

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抄録
患者は50歳の男性で,3日前よりの発熱,次第に増悪する呼吸困難を主訴に来院した.来院時,低酸素血症と胸部X線上で両肺野にうっ血像を認め,急性左心不全と診断した.入院後に呼吸補助と利尿薬投与を施行し,循環血行動態は安定し,心不全は軽快した.経胸壁心エコー図検査にて重症大動脈弁閉鎖不全症(aortic regurgitation,以下AR)を認め,これが心不全の原因であると考えた.経胸壁心エコー図検査及び心臓カテーテル検査ではいずれも急性重症ARの所見を呈していたが,経食道心エコー図検査を施行しても感染性心内膜炎などのARの原因疾患は特定出来なかった.その後,重症ARに対して手術適応と判断し,心不全発症後第40病日に他院にてARに対する根治術を施行したところ,大動脈弁左冠尖から右冠尖の直上に限局性大動脈解離を認め,今回のARの原因であると断定した.改めて術前の3D経食道心エコー図検査を解析したところ,右冠尖直上に存在するflapを確認し,限局性大動脈解離の広がりを再構築することが可能であった.限局性大動脈解離によるARは比較的稀な疾患であり,時として診断が困難である.病歴や経胸壁心エコー図検査から急性発症のARが疑われる場合には,早急な外科的治療が必要な疾患を検索するため,必要に応じて3D経食道心エコー図検査を使用すべきであると考えられた.
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© 2012 一般社団法人 日本超音波医学会
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