超音波医学
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総説
僧帽弁閉鎖不全症の手術適応と術後フォロー・アップの基本
合田 亜希子正木 充増山 理
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2012 年 39 巻 2 号 p. 87-99

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抄録
僧帽弁閉鎖不全症の手術件数は現在も増加傾向にある.リウマチ性の僧帽弁疾患は減少しているが,虚血性あるいは機能性の僧帽弁閉鎖不全症は心不全治療が進歩したこと,生活習慣病の増加などから今後も増加すると考えられる.また,弁形成術の技術が進歩し,その適応が広がっている.僧帽弁逸脱症の場合には逸脱部位や範囲,弁の肥厚・変性の有無により形成術の成功率が異なるため,心エコー図検査による詳細な評価が必要である.弁形成術は弁置換術と比較して術後の予後が良い.心房細動の慢性化や弁変性が進む前に形成術を施行した場合,その後の抗凝固療法も不要であることから,弁形成術が可能な段階での手術を考える必要がある.また,現在米国において経皮的僧帽弁クリッピング術が治験中である.適応に限定はあるものの,特に機能性僧帽弁閉鎖不全症例など心機能が著明に低下している症例において,より少ない侵襲による治療法に期待がもたれる.術後フォロー・アップに際しては弁機能,逆流の有無・程度,心機能を評価する.感染性心内膜炎や収縮性心膜炎の可能性についても念頭に置いておく必要がある.手術後はアーチファクトなどにより経胸壁心エコー図検査による評価が困難な場合がある.臨床的に弁機能不全や感染性心内膜炎が疑われる場合には積極的に経食道心エコー図検査を行う.人工弁の通過血流速は弁輪径,弁の種類によっても異なり,以前のデータとの比較が重要である.
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© 2012 一般社団法人 日本超音波医学会
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