超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
Print ISSN : 1346-1176
ISSN-L : 1346-1176
症例報告
胎盤血管腫の破綻により胎児貧血を起こした1例
仲村 将光長谷川 潤一真井 博史松岡 隆市塚 清健関沢 明彦岡井 崇
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 39 巻 3 号 p. 291-296

詳細
抄録
本報告は胎盤血管腫の表在血管が胎内において破綻し,胎児貧血を来たした症例の世界で初めての報告である.症例は29歳,0回経妊.他院で妊婦健診を施行していた.妊娠28週の妊婦健診で,羊水過多と胎盤腫瘤を指摘され,精査のため当院紹介となった.初診時の超音波検査で,羊水ポケット87 mmと羊水過多を認めた.胎盤表面にはカラードプラ法で血流が豊富に描出される65×80 mmの有茎性腫瘤を認めたため,胎盤血管腫の診断で入院管理とした.入院時は児の形態学的評価を含め,羊水過多以外に異常を認めなかったが,徐々に血管腫は増大した.妊娠31週6日,超音波検査で児の中大脳動脈血流収縮期最大速度の上昇を認め,また胎児心拍数波形にsinusoidal patternを認めたことから,胎児貧血による胎児機能不全と診断し,緊急帝王切開を施行した.分娩時,羊水は血性であり,胎盤娩出時に血管腫表面の一部破綻がみられた.児にはヘモグロビン8.3 g/dl,アルブミン1.5 mg/dlと,貧血と低アルブミン血症を認め,血小板が19.1×104/μlと正常であったことから,胎児貧血の原因は血管腫の破綻と考えられた.胎盤血管腫の症例に胎児貧血を認めた場合には,血管腫の破綻も鑑別診断すべきと考えられた.
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本超音波医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top