抄録
67歳,男性.2009年1月,他院に入院し,左冠動脈主幹部病変を伴う冠動脈2枝病変と診断された.その後,手術目的のため当院に紹介され,3月に冠動脈バイパス手術が施行された.紹介元に転院となり実施された冠動脈造影にて,吻合部直後の左冠動脈前下行枝に狭窄が認められたため,10月に経皮的冠動脈形成術が施行された.施術中に造影剤の血管外漏出を認め,バルーンによる穿孔が疑われたために手技を中止し,心嚢液の増加に注意しながら経過観察されていたが,心臓超音波検査で前室間溝に嚢胞状の腫瘤を認めたため,同日,再び当院に紹介された.入院翌日に実施した心臓超音波検査では,嚢胞状の腫瘤が50×44×32 mmであった.10月下旬には,57×47×70 mmと著明に増大し,破裂の危険も考えられたため,3日後開胸的冠動脈仮性動脈瘤遮断術が施行された.術後1年の心臓超音波検査では,瘤の消失が認められた.今回,経皮的冠動脈形成術中に発生した仮性冠動脈瘤を経験した.瘤の大きさを超音波検査で経時的に評価し,破裂の危険を回避することができた.