本研究では組物複合材料のエネルギー吸収特性について検討した。強化繊維に炭素繊維、母材樹脂にナイロン66樹脂を用いた熱可塑性樹脂複合材料円筒(CF/PA66)を作製し、樹脂、強化繊維の異なる複合材料円筒とエネルギー吸収特性を比較した。エポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂複合材料パイプ(CF/Epoxy)はCF/PA66に比べて、エネルギー吸収量が小さくなった。断面写真より長手方向のクラックが発生し、外側の層の曲率が大きくなっていることから、長手方向クラックが発生することで、外側の層が曲がりやすくなり、繊維の破壊に必要なエネルギーが減少したためだと考えられる。強化繊維にガラス繊維を用いた熱可塑性樹脂複合材料パイプ(GF/PA66)はCF/PA66と同様の破壊様相を示したが、エネルギー吸収量は低い値を示した。これは強化繊維の引張強度が影響していると考えられる。エネルギー吸収量の速度依存性に関して破壊じん性が影響し、破壊じん性の速度依存性が小さいほど圧縮速度によるエネルギー吸収量の差が小さいことが分かった。