超音波医学
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特集「集束超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)の臨床応用」
前立腺癌に対するhigh-intensity focused ultrasound
小路 直朝長 哲朗金 伯士中野 まゆら内田 豊昭
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2014 年 41 巻 5 号 p. 717-726

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抄録
PSA(prostate-specific antigen)検診の普及により,限局性前立腺癌の患者数が増加している.高密度焦点式超音波療法(high-intensity focused ultrasound: HIFU)は,(1)身体に傷がつかない(非観血的),(2)何回でも繰り返し治療することが可能,(3)手術療法や放射線療法など他の治療法後に局所再発が認められた場合でも治療可能で,逆に,(4)HIFU療法後に根治的前立腺全摘術や放射線療法が可能である,さらに,(5)外来治療が可能,(6)合併症が少ない,(7)手技が容易,(8)医療コストが安いなどの点で,前立腺を摘出する外科的治療(根治的前立腺切除術)や,放射線治療よりも優れていると考えられる.これまでに,HIFUにより前立腺全体を治療する“Whole gland therapy”は,低い術後尿失禁率,高い性機能温存率,および患者の生活の質(quality of life: QOL)保持の観点から,非外科的治療の選択肢の1つとして施行されてきた.さらに,放射線治療後にも施行可能なことから,放射線治療後の局所再発前立腺癌に対するsalvage治療としても,期待される.また,HIFUは,予後に影響を及ぼすと考えられる癌病巣を局所的に治療するfocal therapyの治療法の1つとしても注目されている.しかし,focal therapyの低侵襲性は,明らかになっている一方で,これまでにHIFUによるfocal therapyが施行された症例数は少なく,経過観察期間も短いことから,有効性の評価のためには,より多くの症例の長期成績を集積し,解析する必要がある.
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© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
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