超音波医学
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総説
超音波検査による膵臓のスクリーニング:腹部超音波検診判定マニュアルに基づいて
田中 幸子
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2016 年 43 巻 4 号 p. 563-569

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抄録
膵臓は,肋骨や胃の背側に存在するため,超音波検査ですっかり描出するのが困難な臓器である.無症状の人を対象とした検診で見落としてはならない最も重要な膵臓の病気は膵がんであるが,膵内にとどまるごく微小な病変をとらえないと根治可能な早期がんが発見できないので,診断がとても難しい.膵臓の超音波スクリーニング検査で大切なポイントとして,以下の3点があげられる.(1)体位変換,高周波プローブの活用,場合により胃充満法などを用い,可能な限り広い範囲を観察すること,(2)膵がんの直接所見である低(等)エコー像や間接所見(副所見)である主膵管・分枝膵管の拡張像を的確に検出し,早期の膵がんを見落とさないこと,(3)膵がん高危険群である主膵管拡張と膵嚢胞を拾い上げることである.この3点について,検診判定マニュアルに沿って解説した.
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© 2016 一般社団法人 日本超音波医学会
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