抄録
小児先天性腎尿路異常(CAKUT: congenital anomalies of the kidney and urinary tract)は,小児期から若年層の末期腎不全の原因疾患としておよそ1/3を占めるというエビデンスが示されていることから,CAKUTをできるだけ早く発見して治療を要する症例に対しては可及的早期に介入していくことが望まれる.超音波(US)検査は,医療施設においては時と場合を選ばずに容易に低侵襲で施行できる検査であり,胎児期からのスクリーニングも可能で,新生児・乳児にも安全に行うことができる.さらには出生後の診断の確定や,CAKUT治療中の経過観察やアウトカムの評価のためにも主役となる検査方法である.また,2016年に日本小児泌尿器科学会より小児先天性水腎症(腎盂尿管移行部通過障害)と膀胱尿管逆流(VUR)の診療手引きが発表された.その内容も含めて超音波検査の役割の観点から解説する.