超音波医学
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原著
左冠動脈近位部血流の検出率と検出時間における機種および検者依存性に関する検討
檜垣 里江子齋藤 実西尾 静子今井 美咲和氣 大輔河内 好子永尾 彰子諸藤 徹稲葉 慎二住元 巧
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2018 年 45 巻 2 号 p. 207-214

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抄録

目的:経胸壁ドプラ心エコー(transthoracic Doppler echocardiography: TTDE)による左冠動脈近位部血流計測は,同部の冠動脈病変の推定に有用である.本研究の目的は,その検出率と検出時間における機種および検者依存性の検討である.対象と方法:1)機種依存性 2010年から2016年までに,同一検者によりGE社のVivid7とVivid E9でTTDEが施行された連続患者325名を対象とした.2)検者依存性 同期間に,3名の検者により(検者1,検者2:TTDE経験5年,検者3:TTDE経験2年),同一患者にGE社のVivid7でTTDEが施行された連続患者100名を対象とした.両検討共に,対象としたTTDEの期間中に冠動脈バイパス術や左冠動脈近位部にインターベンションが行われた症例は除外した.左冠動脈近位部血流検出の定義は同部の血流速度波形を保存できた場合とし,検出時間の定義は通常の心エコー検査における最終画像保存時間から左冠動脈近位部血流の速度波形保存時間までとした.結果:1)機種依存性 検出率はVivid7に比し,Vivid E9で有意に良好であったが(60% vs 68%,p=0.01),検出時間は両機種間に有意差を認めなかった(73秒vs 72秒,p=0.10).2)検者依存性 検出率は各検者間で有意差を認め(検者1:77%,検者2:70%,検者3:65%,p=0.0486),検者1と検者3の間に差を認めた(p=0.03).また,検出時間も検者間差を認め(検者1:57秒,検者2:65秒,検者3:86秒,p<0.01),検者3と他の検者間に有意差を認めた.結論:左冠動脈近位部血流検出には機種および検者依存性が存在することが示唆された.また,検者依存性はTTDEの習熟度に関連する可能性が示唆された.

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© 2018 公益社団法人 日本超音波医学会
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