超音波医学
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僧帽弁・大動脈弁の心エコー評価の進歩と弁形成術の発展
僧帽弁形成術のための心エコー図:外科医と読み解く心エコー
渡邉 望
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ジャーナル 認証あり

2018 年 45 巻 4 号 p. 381-392

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抄録
僧帽弁逸脱に対し僧帽弁形成術が主流となり,術前術中術後を通した周術期の心エコー図診断の役割が大きくなってきた.かつては術前診断をし,手術適応と判断した時点で外科医にバトンタッチするまでが内科医の役目であったが,患者ごとに異なる病変に対しカスタムメイドで様々な手術戦略を立てる段階で,心エコー図による詳細な形態診断は重要な位置を占める.特に,リアルタイム3次元(3D)経食道心エコー図が日常臨床で用いられるようになった現在では,かつて心エコー図専門医がmultiplane断層心エコー図画像からいわゆるmental reconstructionしていた立体画像を実際に外科医に提示することが可能となり,さらに3次元的な病変の広がりを正確に表示し計測するまでに至った.術前の段階で外科医に心エコー図画像を供覧し,必要な計測を行い,術式選定に関わることも,noninvasive cardiologistとしての重要な役割である.また,形成術の際の術中経食道心エコー図による診断も,専門的な視野に立ち外科医と共に診断する大きな役割であり,そのためには心エコー図診断のスキルに加え,術中判断するための外科手術に関する基礎知識や,その時々で判断が必要となる項目などを知る必要がある.常日頃から外科医と共に患者の診療にチームとして携わる体制を持ち,その中で外科医と心エコー図画像を共有していくことが,よりよい形成術のためには必須である.本稿では,僧帽弁形成術に関わる心エコー図診断につき,noninvasive cardiologistとしての外科医との関わりを含めて解説する.
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© 2018 公益社団法人 日本超音波医学会
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