超音波医学
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僧帽弁・大動脈弁の心エコー評価の進歩と弁形成術の発展
僧帽弁逆流に対する形成術と注意点,そして,術前評価に望むこと
三浦 崇江石 清行
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電子付録

2018 年 45 巻 4 号 p. 363-370

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抄録
僧帽弁形成術は対象疾患が幅広く,その効果と意義が弁置換よりも明白であり,また経験と技術が求められることなどから,患者,外科医の双方にとって魅力的な手技の一つである.その反面,再手術のリスクと責任を背負った手術であることも事実である.再手術は術後1~3年以内の比較的早期に集中し,早期再手術率は5~8%が一般的である.その後は安定し10年後の再手術非発生率は80~95%である.再手術を惹起しやすい病態として活動期感染性心内膜炎,前尖広範囲逸脱があり,原因は不完全修復,縫合部の組織損傷,再弁輪拡大,短縮腱索の再延長,溶血などである.良好な成績を得るためには,超音波検査による逆流のメカニズム同定とそれに応じた精緻な形成手技が必要である.形成手技は切除縫合術を基本手技とし,脆弱な縫合部位はパッチ補強を追加し,逸脱の矯正が終了した時点で完全な弁尖接合を得ることを目指す.また,リングを用いた弁輪形成を追加し,人工弁輪の縫着も丁寧に行う必要がある.特に,切除縫合の際のdehiscence予防は重要である.術中の経食道心エコーは専門家に依頼し厳密に行い,ジェット面積2 cm2以上の遺残逆流は再度検索,処置を行うべきである.入院中の再逆流の発生には誠実に対応し,必要であれば引き続き再手術を決断した方が遠隔期の結果は良好である.今回の特集では,上記の内容に加えて,手術前に外科医が必要としている情報についても述べる.
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© 2018 公益社団法人 日本超音波医学会
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