超音波医学
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総説
左右短絡先天性心疾患の正しいエコー診断
豊野 学朋
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2018 年 45 巻 5 号 p. 481-490

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抄録
先天性心疾患の発生頻度は出生数の1%程度とされ,小児の日常診療で関わることが多い病態である.代表的な左右短絡先天性心疾患である心室中隔欠損症と心房中隔欠損症はいずれも発生頻度が高く,両疾患で全先天性心疾患の約40%を占める.心室中隔欠損症は肺動脈弁下部,膜性周囲部,流入部,筋性部に分類される.これらの解剖学的分類は,自然閉鎖の予測,大動脈弁合併症の危険性,そして外科的閉鎖術施行時の術式に影響する重要な因子である.また心室中隔欠損を通過する短絡血流による肺高血圧や肺うっ血の評価も不可欠である.一方,心房中隔欠損症は,二次中隔型,一次中隔型,静脈洞型,単心房型に分類され,それぞれが異なる治療法や合併疾患を有している.これから先天性心疾患のエコー診断を学ぶ方にとって,これらの代表的な左右短絡性心疾患を正しく理解し検査における必要な基礎事項を整理することは重要である.実際に心エコー検査を施行するに当たり,考えながら記録を進めることは必要な技能であるため,本論文では心エコー所見に加え,各疾患の病態生理,症状,身体所見,胸部単純X線や心電図の検査所見,治療についても解説を行う.心エコー検査の上達には知識のみでは不十分で,経験が必要である.経験を得るためには,自らの手を動かすことに加え,正しい画像を描出してくれる上司の存在も不可欠である.読者の身近によきお手本がいることを願う.
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© 2018 公益社団法人 日本超音波医学会
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