2022 年 49 巻 6 号 p. 517-526
目的:関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis: RA)患者の滑膜炎の程度を評価するため,超音波が広く使用されるが,再燃および寛解を評価・予測するためにどの関節が最適であるかは解明されていない.患者および手法:KURAMAコホート研究に参加した293名のRA患者が,超音波による28箇所の関節の評価を受けた.結果:2015年と2017年ともに寛解期にあった患者(グループ1,n=152)の結果を,2015年に寛解期にあったものの,2017年に寛解期になかった患者(グループ2,n=60)の結果と比較した.SMIスコアは全関節(3.1 vs. 6.3,P=0.004),MCP2-5(1.1 vs. 2.4,P=0.03),手関節(0.9 vs. 2.1,P=0.0003),MTP2-5(0.4 vs. 1.0,P=0.03),リスフラン関節(0.07 vs.0.25,P=0.04)で,グループ2が有意に高かった.2015年に寛解期になかったものの,2017年に寛解期にあった患者(グループ3,n=27)を,2015年と2017年の両方で寛解期になかった患者(グループ4,n=54)と比較すると,MCP2-5関節のGS-SMI合成スコア(3.0 vs. 5.0,P=0.04)およびSMIスコア(1.5 vs. 2.9,P=0.04)は,グループ4で有意に高かった.多変量ロジスティック回帰分析では,「手関節SMIスコア≧1」が再燃の独立予後因子(オッズ比3.08,P=0.001),また「MCP2-5関節GS-SMI合成スコア≦4」が寛解の独立予後因子(オッズ比3.25,P=0.048)として同定された.結論:我々は,RA患者の再燃と寛解を予測するための最適な関節のカットオフスコアを同定した.超音波スコアに基づくリスク層別化治療は,RA患者の転帰および生活の質の改善につながる可能性がある.