超音波医学
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特集「Quantitative assessment of liver steatosis using ultrasound」
非アルコール性脂肪性肝疾患の肝脂肪化評価におけるUGAPの有用性:CAP,ATIとの比較検討
黒田 英克阿部 珠美藤原 裕大長澤 倫明滝川 康裕
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2023 年 50 巻 3 号 p. 161-169

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抄録

本研究は,非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)の肝脂肪化診断におけるultrasound-guided attenuation parameter(UGAP)の診断精度を評価し,attenuation imaging(ATI)およびcontrolled attenuation parameter(CAP)と直接比較することを目的に実施された.対象は,2019年10月から2021年4月に当院でUGAP,ATI,CAPおよび肝生検検査を同日に施行されたNAFLD症例105名である.UGAPによって推定された超音波減衰係数(attenuation coefficient:AC)の肝脂肪化診断能は,肝病理組織学的所見をリファレンスにROC解析を用いて評価され,ATI,CAPによって測定されたACならびにCAP値と比較された.UGAPの測定成功率は100%であった.複数回測定によるIQR/medの中央値は4.0%で,ATIおよびCAPよりも有意に低値を示した(P < 0.0001).肝脂肪化grade別のUGAPで測定したACの中央値は,S0 (n=20) / S1 (51) / S2 (28) / S3(26):0.590 / 0.670 / 0.750 / 0.845 dB/cm/MHzと肝脂肪化に伴い高値を示した(P < 0.0001).肝脂肪化grade S1以上,S2以上およびS3を識別するためのUGAPのAUROCは 0.890,0.906,0.912であり,肝脂肪化grade S3診断におけるUGAPのAUROCはCAPより高値を示した(P < 0.05).UGAPとATI間の相関係数は0.803で強い相関関係が示された(P < 0.0001).UGAPは,高い測定成功率と再現性が特徴で,NAFLD患者に対する高精度な肝脂肪化診断能を有する可能性が示唆された.

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