超音波医学
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総説
乳房超音波フローイメージングを診断に活かすコツ
奥野 敏隆
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2023 年 50 巻 5 号 p. 319-338

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抄録

乳房超音波検査の基本はBモード法である.Bモード法は超音波組織特性に基づき,組織像を反映した信号を輝度変調して得られた断層像から病理像を読み解く形態診断である.カラードプラ法はドプラ効果を用い,血流から得られるドプラ偏移周波数の情報をリアルタイムにカラーでBモード画像に重ねて表示する血流動態診断である. Bモード法にカラードプラ法を追加して診断能の向上を得るためにはまずBモード法で適正な画像を撮像すること,そして適正な装置の設定と手技でカラードプラ法を行うことが必須となる.さらに造影超音波は低音圧でマイクロバブルを共振させ,得られた2次高調波をもとに画像を得るコントラストハーモニックイメージングである.乳房超音波診断の基本はBモード法による組織型推定とそれに基づくカテゴリー判定であるが,フローイメージングを適切に追加することで乳癌を確実に拾い上げ,良性疾患を良性と判断して無用の生検や経過観察を回避することができる.本稿では超音波ドプラ法と造影超音波の基礎,乳房超音波フローイメージングの歩み,乳腺疾患のvascularityの病理,装置の設定と操作法,そして乳房超音波フローイメージングを診断に活かすコツについて解説したい.

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© 2023 公益社団法人 日本超音波医学会
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