超音波医学
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症例報告
術前化学療法中のhereditary breast and ovarian cancer乳癌患者において,経腟超音波が診断契機となった卵巣癌の1例
牧尾 悟月原 悟鬼塚 哲南 星旭髙石 清美申神 正子金森 康展
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2026 年 53 巻 3 号 p. 185-191

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抄録

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)の管理では,一次予防としてリスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)が診療ガイドラインで推奨されている.一方,RRSOを施行しない/延期する症例に対するサーベイランスとしての経腟超音波検査(transvaginal ultrasonography:TVUS)は,死亡率低下を示す明確なエビデンスに乏しく,診療ガイドライン上は「考慮」にとどまる.しかしTVUSは低侵襲かつ即時性に優れ,壁在結節・充実成分・血流などの形態学的情報を早期に提示し得る.本症例ではHBOC乳癌患者の術前化学療法施行中,遺伝カウンセリング後に実施したTVUSで右付属器腫瘤を検出し,迅速な精査・外科的介入につながった.病理組織は卵巣明細胞癌で,術中少量漏出を伴うFIGO IC1と診断した.その後,乳癌治療を再開し最終的に残存浸潤癌は認めなかった.本症例は,RRSO非施行例における一律のスクリーニングとしてのTVUSを推奨するものではない.遺伝学的診断を契機として婦人科へ紹介された症例において,個々の臨床状況に応じてTVUSを併施することで,早期診断や専門医療への円滑な橋渡しに寄与する可能性がある.

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